2019/08/12 14:33

「指導者を目指す相反する二組の門人達」集中稽古 五日目 8/11 2019 文 師範 寺崎秀行

「指導者を目指す相反する二組の門人達」 

文 師範 寺崎秀行

集中稽古 五日目 9:30~12:30

 

 

 

※まず最初にここから先に記載しています内容は

 

 

 

 

合氣道寺崎道場で合氣道の指導者を目指す指導者育成の為の集中稽古であり、

 

 

 

 

その為の心得です。ご承知の上、お読みください。

 

 

 

お盆休みを返上しての夏季集中稽古も明日で終了です。

 

 

 

 

ここで稽古する門人から「八月にあと四~五回、私達に稽古をつけてください❗」

 

 

 

 

との熱い要望を受け八月四週~五週目にかけて神戸で夏季集中稽古を続けることになりました。

 

 

 

 

この門人たちの熱意と合氣道に対する真剣さも当然のことながら、人としての生き方、人生の学びに対する一生懸命さには師範の私も脱帽します。

 

 

 

 

この門人たちには本当に色々な事を学ばせてもらってます。

 

 

 

 

ここに指導者として学ぼうとする対照的な相反する二組の門人がいます。

 

 

 

 

先にはっきりしておかねばならないことは、

 

 

 

 

この二組の指導者を目指す門人のどちらも正しいということです。

 

 

 

 

 

どちらも真剣に指導者を目指す稽古を日々続けております。

 

 

 

 

心得、行動力、想いが対照的で相反しており、どちらも正しく間違いではありません。

 

 

 

物体に光を当てれば、明るい部分があれば、暗い部分もあります。

 

 

 

 

光の当たる方向や角度により日向と日陰、明と暗が現れます。そのどちらも正しいのは事実です。

 

 

 

 

ただ、南へ行きたければ南の方向に歩かねばなりません。

 

 

 

 

南へ行きたいのに北の方向に歩いていたのでは、いつまでたっても南にたどり着くことはできません。

 

 

 

 

これは事実です。

 

 

 

 

このように指導者を目指すなら指導者向けの稽古が必要です。

 

 

 

 

指導者には指導者向けの一般ユーザーには一般ユーザーの稽古法があります。

 

 

 

 

学ぶ側も指導者を目指すなら、その為の心得と行動力が必要になります。

 

 

 

 

それを教える指導者は、どちらにも平等に熱意と愛情を持って指導しなければなりません。

 

 

 

 

それを受け止める学ぶ側が対照的であり、相反する二組の指導者を目指す門人たちです。

 

 

 

 

では、具体的に実際にあった事案を記していきましょう。

 

 

 

 

先に記した夏季集中稽古に参加している門人たちは、関東在住であり一ヶ月に三~四回の稽古しか出来ません。

 

 

 

 

なぜなら師範の私が関西在住ですので。

 

 

 

 

このグループを利便上①とします。

 

 

 

 

もう一つの門人たちは、私と同じく関西在住で自宅も車で15分~30分程度の距離で、月に12回~16回の稽古に来ています。このグループを②とします。

 

 

 

このように、二組の門人たちの環境が全然違います。

 

 

 

 

①の門人にNという門人がおり、合氣道寺崎道場では一番進歩著しい全ての門人の模範になる門人です。

 

 

 

 

Nが入門して一ヶ月程たった頃にある相談を受けました。

 

 

 

 

それは、自分の悪い癖である「物事を先伸ばす癖を直したい」でした。

 

 

 

 

仕事でも納期にはいつもギリギリで、人との待ち合わせもギリギリでイライラすることが多かった。

 

 

 

 

でも、仕事の納期も人との待ち合わせも遅れたことは一度もないので、

 

 

 

 

そうなる前に絶対に克服したいということでした。

 

 

 

 

まず合氣道を学ぶ上で基本となる

 

 

 

 

 

天地の法則、

 

 

 

 

氣の原理、

 

 

 

 

 

心身統一、

 

 

 

 

 

心が身体を動かす事を教え、

 

 

 

 

合氣体操の前後技、八方技を体得することにより、

 

 

 

 

 

物事に対する氣の向け方を学ばせました。

 

 

 

 

 

その後、時間は戻ってはこない、相手がいることなら

 

 

 

 

その相手の時間をも無駄にする事などを指導しました。

 

 

 

 

直面した事に集中する事の大切さを感じたNは、

 

 

 

 

 

人並みならぬ心身統一体の稽古をひたすら一人で来る日も来る日も続けました。

 

 

 

 

磐石な姿勢と心の状態を会得してからは、時間にも余裕をもち、

 

 

 

 

納期の二週間以上前にはお得意先に納品を済ませていると聞いています。

 

 

 

 

私達の師である藤平光一先生が確立された「執務の五原則」をNは日々実行しました。

 

 

 

 

自分から仕事を見つけ、

 

 

 

 

逐一メモをとり、

 

 

 

 

今やれることは今やり、

 

 

 

 

寝る前に明日の仕事の手順を考え、

 

 

 

 

朝起きたらメモを見る

 

 

 

 

この執務の五原則をNが主体となって他の①門人もこれを日常において実行している。

 

 

 

 

これはNの指導力の賜物だ。

 

 

 

 

また、普段から師範である私とは関西と関東という距離があるため、

 

 

 

 

常に氣を通わせておかねばならないと考えたNは、

 

 

 

 

 

毎日の予定を細かくLINEで私に送信するようになり、

 

 

 

 

①門人にこれを徹底させた。

 

 

 

 

その内容は、朝から就寝時までの細かい予定だ。

 

 

 

 

朝何時に起床、

 

 

 

 

何時に何々、

 

 

 

 

何時に仕事場に行き何時まで仕事、

 

 

 

 

何時に趣味のサーフィンをするため海をチェック、

 

 

 

 

 

何時に呼吸法、統一の印、

 

 

 

 

部屋の掃除、何時に夕食、

 

 

 

 

寝る前の呼吸法、統一の印、

 

 

 

 

明日の予定というようにNのみならず、

 

 

 

 

①全ての門人から日々LINEで送られてきます。

 

 

 

 

日々、読むのが大変ですし、その都度返信も出来ませんが、

 

 

 

 

これが私と①門人の間で氣が滞らない稽古法であります。

 

 

 

 

予定がわかると、「今は、仕事中だな」とか、

 

 

 

 

「海のチェック、波良いかな?」

 

 

 

 

「今は展示会で名古屋に来てるのか?」

 

 

 

 

「呼吸法の時間か?では一緒に呼吸法をやろうか」っていうように、

 

 

 

 

距離の離れている相手に氣が届けられます。

 

 

 

 

そうすれば、例え月に四~五回程の稽古でも稽古前のお互いの心の前段取りが既に出来ているから、

 

 

 

 

自ずと内容も濃いものになる。

 

 

 

 

 

「今は、仕事中だからLINEしても既読にはならないな」と送信した私も分かっているから、

 

 

 

 

中々既読にならなくても不安にはならないし、

 

 

 

 

見れない時間にはそもそもLINEを送らない。

 

 

 

 

そんな日々の氣の通いがあるから、

 

 

 

 

間違いを犯さないし、

 

 

 

 

失礼な言動などあるはずもないから、

 

 

 

 

いつも楽しく愉快に稽古が出来る。

 

 

 

 

①門人たちに激しく叱ったことなど一度もない。

 

 

 

 

その必要がないから。

 

 

 

 

②門人は、私と月に半分は稽古で会っているし、稽古以外でも会おうと思えば、すぐにでも会える距離にいる。

 

 

 

 

だからか?

 

 

 

 

①門人たちのようにする門人は②にはいない。

 

 

 

 

その結果、②門人と私との意思疏通が滑らかに進まないことが良くある。

 

 

 

 

「そんなことで何故、時間をとらねばならないのか?」

 

 

 

 

「何故そのような言動が出来るのか?」

 

 

 

 

激しく叱りつけることもしばしばである。

 

 

 

 

しかし、その殆どがとてもくだらないことが多く、何度も同じ失態をする。

 

 

 

 

「はい、申し訳ございません」と言った、その直後にまた同じような失態を平氣でする。

 

 

 

 

これは、明らかに私と②門人との間の氣の滞りが原因だ。

 

 

 

 

私としては平等に指導しているにも関わらず、こんなに差が出ている。

 

 

 

 

日々の予定LINEの送信など「こうしろ❗」と私が命令した訳でもないが、

 

 

 

 

①門人は自発的にそうしていた。

 

 

 

 

執務の五原則「自分から仕事を見つける」これだ❗

 

 

 

 

言われてやることには氣が出ない。

 

 

 

 

それは、進んで自らやろうとした訳でもないから。

 

 

 

 

でも自分からやろうとした事には

 

 

 

 

当然、氣が出ている。

 

 

 

 

②門人は、言われたことはやるが、言われないことはやらない。

 

 

 

 

言われた事だから、氣が出ない。

 

 

 

 

なので、同じ失態を繰り返す。

 

 

 

 

もう一度言うが、どちらも正しい。プラスに取るほうへ進めばいい。

 

 

 

 

中々、技を覚えられない②門人に

 

 

 

 

毎朝、技を一つ決めて一人でイメージトレーニングしてみて、

 

 

 

 

出来ても出来なくても「今朝はこの技やりました。出来ました❗」とか

 

 

 

 

「うまく出来ませんでした」というようにLINEで送ってきなさいと指導しました。

 

 

 

 

これは、技の復習はもちろんの事、技の名称を書くだけでも潜在意識に入る、とても良い稽古法です。

 

 

 

 

しかし、現状では送ってきたり、こなかったりです。

 

 

 

 

これでは意味がありません。

 

 

 

 

毎朝やるから、意味がある。

 

 

 

 

人間なので朝、氣が出ている時もあれば、出てない時もある、

 

 

 

 

心と身体がプラスの時もあれば、そうでないこともある。

 

 

 

 

しかし、私達は、いつでも氣を出す稽古をしているし、

 

 

 

 

いつでもプラスになれる法則を知っている。

 

 

 

 

だから、これを後進に教えてあげないといけない❗

 

 

 

 

これが指導者としての責務です。

 

 

 

 

自らこれを実行しなければなりません❗

 

 

 

 

 

この毎朝のイメトレも①門人には「やりなさい」と言ったことはないが、

 

 

 

 

自主的に毎朝の予定とともに送られてくる。

 

 

 

 

私は良く「ウサギとカメ」の話をする。

 

 

 

 

「ウサギとカメならカメになれ❗」

 

 

 

 

勿論、何事も早急に理解、会得し実行出来れば良いが、中々そうはいかない。

 

 

 

 

私自身、何事もカメだ。

 

 

 

 

人の数十倍練習しないと人並みにはなれない。

 

 

 

 

自分の事は自分が一番よく知っている。

 

 

 

 

ただ、私のいうカメは確実に前に進まねばならない。

 

 

 

 

 

一日に例え半歩でも進めば確実に前に進んでいることになるが、後戻りしてしまってはカメにもなれない。

 

 

 

 

①②門人達が近い将来、指導者として弟子をもち指導をしていくようになれば、

 

 

 

 

今よりも私と会う時間は少なくなるし、

 

 

 

 

自分の稽古も少なくなってくるのは事実です。

 

 

 

 

今よりも濃い師弟関係になければいけないから、

 

 

 

 

日々の氣の交信を頻繁にし、スムーズに連絡等を出来なければいけない。

 

 

 

 

その為の稽古であることを指導者を目指す門人は、

 

 

 

 

肝に命じておかねばならない。

 

 

 

 

②門人は、私の出稽古の間は、特に氣を出しておかねばならない。

 

 

 

 

この間は私は近くにいないし、何かあって関東から帰省するにも時間がかかる。

 

 

 

 

その間の寺崎道場の全てを自分たちが責任を持って取り仕切る位の意氣込みはないのだろうか?

 

 

 

 

指導者を目指してるんだろう?

 

 

 

 

①門人達は、Nが師範代稽古をしている。

 

 

 

 

道場の確保、日程から全て自分たちで行い

 

 

 

 

その都度、的確な連絡を怠ることはない。

 

 

 

 

そこに天と地の差がある。

 

 

 

 

しかし、私も含め①門人は、②門人に感謝の氣持ちを忘れてはならない。

 

 

 

 

②門人は、私の出稽古、留守中、私の代わりの師範代稽古を努めてくれている。

 

 

 

 

②門人がいなければ、①門人の集中稽古も出来ない。

 

 

 

 

また、②門人は、①門人達が月に僅な限られた時間しか稽古出来ないことを理解し、

 

 

 

 

その間は師範にもそこに集中出来るよう心配事を作らず安心して稽古出来るよう努めなければならない。

 

 

 

 

お互いに尊重し、相手の立場に立たなければいけない。

 

 

 

 

合氣道五原則である。

 

 

 

 

しかし、相反する二組の派閥も歓迎することである。

 

 

 

 

仲良しだけではいけない。

 

 

 

 

色々な主張があり、意見もある。

 

 

 

 

ここで、合氣道を学ぶものがどの様な行動をするのか?

 

 

 

 

私は少し離れて見守る事にしている。

 

 

 

 

道は同じです。 

 

 

 

 

道を登り極めた頂上の景色も同じです。 

 

 

 

必ず、分かりあえます。

 

 

 

 

まだまだ記したい事はいくらでもありますが、

 

 

 

 

きりがないので今日はこのくらいで。

 

 

 

 

大切な事は、指導者として自分に足りないものは何か?

 

 

 

 

それは、全て「執務の五原則」にある。

 

 

 

 

これを実行すれば必ず、

 

 

 

 

足りないものが見えてきて改善に向かい克服出来るようになる。

 

 

 

 

するか?

 

 

 

 

しないか?は

 

 

 

 

自分次第だ。自分で決めろ❗

 

 

 

 

それは氣の出ている行動だから。

 

 

 

 

前に進むカメになれ❗

 

 

 

 

臍下の一点に心を静めて、

 

 

 

 

自身のこれまでの言動にもう一度帰って考えてみろ❗

 

 

 

 

 

今日の稽古内容

 

 

 

 

合氣体操

 

 

 

 

転換運動

 

 

 

 

腕回し技

 

 

 

 

短刀取り横面打ち四方投げ

 

 

 

 

短刀取り胸突き一教

 

 

 

 

呼吸動作

 

 

 

 

呼吸法

 

 

 

 

統一の印

 

 

 

 

 

合氣道琴心館寺崎道場

師範 寺崎秀行