2026-02-10 03:28:00

" 【古を歩く】 伝説の武将が歩いた道。 綱の手引坂 編 "

今朝目覚めることができた。

ありがとう。

 

 

 

本日は、二十四節氣

立春(りっしゅん)次候

 

七十二候

第ニ候 黄鴬睍睆(うぐいすなく)

2月9日~13日ごろ。

春告鳥(はるつげどり)とも呼ばれる

ウグイスが、春の到来を告げるように

山里で鳴き始めるころ。

 

 

 

 

 

今日の " 道場長の一日一心 "

​『 ​​​【いにしえ を あるく】 でんせつ の ぶしょう が あるい た みち。 つなのてびきざか  へん 』

 

 

 

 

 

※前回の記事はコチラ

 

​

さて、お正月の東京出張

坂道巡りの続きです。

 

 

​

東京という街は、

コンクリートのジャングルの

ように見えて、

 

一歩路地に入ると

江戸の骨格が

 

そのまま

残っていることに驚かされます。

 

 

 

​以前から、

私がどうしても訪れたかった場所。

 

 

 

それが

港区三田 (みた) にある

 

「綱の手引坂(つなのてびきざか)」です。

 

 

​地下鉄都営三田線三田駅、

JR田町駅から徒歩約3分ほど、

 

港区三田一丁目四と

二丁目六の間にある坂道です。

 

 

 

平安時代の勇猛な武将、

源頼光の四天王の一人である

 

「渡辺綱(わたなべのつな)」に

由来するこの坂。

 

 

 

渡辺綱は

鬼の腕を切り落としたなど、

 

英雄伝説として

名を残した武将ですね。

 

 

 

この「綱の手引坂」という

ユニークでインパクトのある

坂名の由来は、

 

彼がこの地で生まれ、

幼少の綱が、

 

姥に手を引かれて

この坂を行き来したことから

名付けられたとか。

 

また「姥坂(うばざか)」と

呼ばれていたという説もあります。

 

 

 

​

大都会 東京の真ん中、

オーストラリア大使館、

綱町三井倶楽部の道沿いに

ひっそりと佇むこの坂道。

 

 

 

 

一歩足を踏み入れると、

そこだけ空氣が

凪 (な) いでいるような、

不思議な静けさがありました。

 

 

 

​

その静かな坂道を

ただ景色を眺めて

歩くのではありません。

 

 

 

 

かつて

この急坂 (きゅうはん) を、

 

踏みしめた

人々の身体感覚を想像するのです。

 

 

 

​

現代の私たちが履く靴は、

特に指先に意識を置かなくても

脱げることはありません。

 

 

 

しかし、

その結果、

 

私たちの姿勢が

踵よりの不安定な姿勢を

 

作り出した原因でもあると、

私は思っています。

 

 

 

 

 

話を元に戻すと、

 

当時の

雪駄や下駄、

草鞋といった履物は

 

常に指先に意識がなければ

簡単に脱げてしまう。

 

 

 

おそらく、

臍下の一点を据え、

重力に逆らわず、

 

全身の重みが

自然と軽く母趾球にかかり

大地を踏みしめていたはず。

 

 

​

 

 

そして何より、

この「手引き」という名前。

 

 

 

 

これこそ、

人生にも合氣道にも通じる

極意ではないかと感じ入りました。

 

 

 

 

​馬であれ、鬼であれ、

何かを「引く」時。

 

力任せに引っ張れば、

相手は抵抗し、綱は切れます。

 

 

 

相手の心を感じ、

氣を合わせ、

 

抵抗させないように

導くことで

 

はじめて、

重いものも動かすことができる。

 

 

 

​まさに「導き」です。

 

 

 

 

 

そんなことを考えながら、

私たちがこの急坂を下っていた、

ちょうどその時のことです。

 

 

 

​一台の自転車が

風のように私たちを追い抜き、

坂を下っていきました。

 

 

お母さんです。

 

続いて、

小学低学年くらいの男の子が、

 

小さな自転車で

一生懸命に後を追っていきます。

 

 

 

​先を行くお母さんは、

坂の下まで降りきったところで

自転車を止め、

 

振り返って

じっとお子さんを待っていました。

 

 

 

やがて

追いついた少年と、

 

ふたこと三こと、

言葉を交わす二人。

 

 

 

 

お母さんの眼差しが、

見えない糸で

少年をふわりと引き寄せ、

 

安全な場所へと導いた、

そんな温かな光景でした。

 

 

 

 

 

二人はまた軽やかに、

ペダルを漕いで

走り去っていきました。

 

 

 

​その

あまりに自然な阿吽の呼吸。

 

 

 

 

隣で

案内をしてくれていたお弟子さんと、

思わず顔を見合わせました。

 

 

 

​

「まるで、姥(うば)が幼い綱の手を引いているようですね…」

 

 

 

​

一千年の時を超え、

目の前の親子の姿が、

 

この坂の名の由来と

完全にリンクした瞬間でした。

 

 

 

 

形は見えずとも、

そこには確かな

「手引き (導き) 」があった。

 

 

 

 

古の伝説が、

現代の日常の中にふと蘇る。

 

 

その不思議な巡り合わせに、

私たちは静かな感動を

覚えずにはいられませんでした。

 

 

 

 

​何百年、何千年も前の

武将、侍、庶民が、

 

この坂で何を感じ、

どう「心と身体」を使っていたのか。

 

 

 

 

石垣の苔や、風、

場に流れる氣、

足裏から伝わる地面の凹凸。

 

 

 

そういった情報

すべてを五感で受け止めること。

​感性を磨くこと。

 

 

 

​道場の畳やマットの上だけが

稽古場ではありません。

 

 

 

 

歴史ある坂道を歩き、

先人の息吹に

耳を澄ませることもまた、

 

合氣の心を養う

大切な時間なのだと、

この坂は教えてくれました。

 

 

 

​

皆さんも、

近くにある「古」を探して

歩いてみてはいかがでしょうか。

 

 

きっと、

新しい感性が開くはずですよ。

 

 

 

 

 

 

さて、

次はどの坂が、

私たちを待っているのでしょうか。

 

 

 

 

​古の江戸を歩く旅、

まだまだ続きます。

 

 

 

 

​過去の坂巡りのエントリーはコチラから

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

兵庫県合氣道連盟

合氣道琴心館寺崎道場

道場長 拝