今日の一言 2026-02-05 (木)
道場長の一日一心 " 【古を歩く】 千年の祈りを包む、現代の社。 神明坂 編 "
今朝目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
立春(りっしゅん)初候
七十二候
第一候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
2月4日~8日ごろ。
東から暖かい春風が吹いてきて、
厚い氷をゆっくり解かし始めるころ。
今日の " 道場長の一日一心 "
『 【いにしえ を ある く】 せんねん の いのり を つつむ、げんだい の やしろ。 しんめいざか へん 』
名は体を表し、
歴史は坂に宿る。
その声を聴くのも
稽古のひとつ。
静けさの中にこそ
本当の強さは宿る。
中心となる臍下の一点に
心を鎮めて。
お正月の東京出張、
江戸の面影を追う坂道巡り。
麻布台ヒルズの摩天楼を見上げ、
「鼠坂」で身を屈めるような
古の氣配を感じ、
「植木坂」を経て、
オーストラリア大使館からの
開放的な陽の氣を浴びました。
その陽だまりの余韻を感じながら、
私たちは次なる場所、
「神明坂(しんめいざか)」へと
歩みを進めました。
港区三田一丁目。
日向坂を登り切った先、
オーストラリア大使館と
三井倶楽部の間の交差点を、
北へと下る坂道。
この坂の名は、
坂の途中にある神社、
「元神明宮(もとしんめいぐう)」
(天祖神社)に由来するといわれています。
坂を下り、
そしてまた上るような地形。
その中腹に、
不思議な空間が現れました。
一見すると、
現代的なコンクリートの建築物。
しかし、
そこから漂う空氣は
紛れもなく「神域」のそれです。
「元神明宮」。
その歴史は古く、
創建は平安時代、寛弘二年(1005年)。
一千年以上の
時を刻む古社であり、
かつては
武将・渡辺綱(わたなべのつな)も
祈りを捧げた場所とされています。
「神明(しんめい)」とは、
天照大御神(あまてらすおおみかみ)のこと。
なぜ、ただの「神明宮」ではなく
「元(もと)」が付くのか。
そこには、
この坂の名の重みとなる
歴史のドラマがありました。
江戸に入府した
徳川家の命により、
神宝・御神体が
飯倉神明(現在の芝大神宮)に移される際、
古くから
この地を守ってきた
氏子、崇敬者たちは、
これに応じませんでした。
御神体を隠し奉り、
昼夜を徹して警護し続け、
この地が
信仰の「元(オリジン)」であるとして
守り抜きました。
その強い熱意は、
現代的な社殿となった今も
変わらずここに在ります。
コンクリートの
モダンな外観の中に、
大切に包み込まれた
伝統的な木造の本殿。
それはまるで、
時代の変化の中でも
決して失ってはいけない
「中心」を
静かに抱いているかのようです。
合氣道で大切にしているのは、
相手と力で争うことではありません。
無理に力を込めて
踏ん張ることでもありません。
大切なのは、
自らの根底にあるもの (中心) を
守り崩さぬこと。
臍下の一点(せいかのいってん)に
心を静める。
ただそれだけで、
心身は統一され、
何事にも動じない
「不動心」が生まれます。
元神明宮の氏子たちが、
権力に対して
力で対抗したのではなく、
「守るべきもの」に
心を寄せ続けたように。
私たちもまた、
外からの力に反応して
身体を固めるのではなく、
自分の中心にある一点に
静かに心を置くことが大切です。
この「神明坂」の、
新しさと古さが同居する
景色の中を歩くとき、
私たちの足裏は何を感じているか?
アスファルトの下に眠る
千年前の土の記憶。
そして、
一点を守り抜いた人々の
揺るぎない強さ。
近代的な
ビルの谷間にあっても、
ここには
清冽 (せいれつ) な
氣が流れています。
外側が
いかに変わろうとも、
臍下の一点さえ
静まっていれば、
私たちは
どんな時代でも
調和していける。
元神明宮の佇まいから、
そんな「生き方」の極意を
改めて
教わったような氣がします。
麻布台ヒルズから始まり、
鼠坂、植木坂、日向坂、
そして「神明坂」へ。
東京という大都会の
レイヤー(層)の深さを味わった、
新年の素晴らしい
稽古となりました。
古を歩くことは、
己の「元」を確かめること。
皆さんも、
東京の坂道で
静かなる歴史の声に
耳を澄ませてみませんか?
【追記】
" 神様からの予期せぬギフト "
元神明宮で参拝を終え、
清々しい氣持ちで御朱印を拝受しました。
ふと、
「おみくじを引いてみようか」
という流れに。
今回、
忙しい合間を縫って
案内してくれた弟子と二人、
心を静めて箱に手を伸ばします。
手渡された紙を
そっと開くと……
なんと、
二人揃って「大吉」。
示し合わせたわけでもないのに、
同じ場所で、
同じ運氣を引き寄せる。
これもまた、
互いの氣が響き合い、
波長が合っている証拠なのでしょう。
「迷わず、その道を行け」
神様から、
そんな力強いエールをいただいたようで、
思わず顔を見合わせて
喜びの笑みがこぼれました。
ありがとうございます。
幸先の良い、
一年の始まりです。
さて、
次はどの坂が、
私たちを待っているのでしょうか。
古の江戸を歩く旅、
まだまだ続きます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝