脚下照顧 きゃっかしょうこ
身近なことに氣をつけるべきであります。
1ヶ月に数回、体育館やスポーツ施設の柔道場で稽古を行うことがあります。
体育館の入口や、柔道場の入口で履物が散乱している現場をよく見かけます。
中に入り覗いてみると、大人や子どもの習い事であったり、何かしらのスポーツ団体であったり。
それぞれ、指導者もいますし、子ども達の保護者もいたりします。
履物が散乱していても、お構いなしです。
今から15年以上前に、神戸市兵庫区、現在のノエビアスタジアムに自転車で昔ながらの紙芝居をしてくれる方がおられました。
当時、小学生の娘を連れてよく見に行きました。
たくさんの子ども達が見に来るので、座れるようにビニールシートを敷いてあり、靴を脱いでビニールシートの上に座ります。
その方は、紙芝居を始める前に、必ず「靴は揃える」と大きな声で何度も子ども達に言ってきかせます。
「おい!君、靴は揃える」
全員がきちんと履物を揃えたら、楽しい紙芝居が始まります。
この方は紙芝居を通して、子ども達に正しく生きる1つの方法を教えて下さってました。
地域にとってとても素晴らしい人ですよね。
指導者は技や技術を教える前に、靴の揃え方から教えるべきではないでしょうか?
靴の脱ぎ方くらいと油断してはなりません。
履物に氣をつけるということは、足元に氣をつけるということです。
頭に血が上ってしまえば、足元に氣が向かなくなり、物につまずいてひっくり返ったりしてしまいます。
合氣道の稽古においては、まず靴を揃えることから指導します。
子どもでも、大人であっても、体験者や、見学者であっても、道場に来られたら最初に教えることが、履物を揃えることです。
道場に入ったら、まず心を静めて自分の脱いだ靴を揃えます。
言われなくても、最初から出来る子どもや大人もいれば、親も子どもも、脱いだら脱ぎっぱなしの人もいます。
自宅でその習慣があるか?
ないか?
一目でわかります。
でも数回、注意するだけできちんと履物を揃えるようになります。
特に低学年の子どもの指導では、指導者や親が「脱いだら揃えようね」と子どもと一緒にしてあげることが大事です。
指導者は「人としてどう生きていくか?」ということを技や技術を通して、教えるべきではないでしょうか。
指導者だけではありません!
特に子ども達にとって、私達は皆、教育者です。
これからの日本が良くなるように!
正しい事をしっかりと、次世代に伝えていく責務があると私は思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 寺崎 秀行