" 天からの「贈答品」。病も老いも力に変える「活機応変」という心のあり方 "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
秋分【しゅうぶん】初候
七十二候
第四十六候 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)
「雷乃収声」は9月23日~27日頃。
夏の間に激しく鳴り響いていた
雷の音が次第に収まり、静かになっていく頃。
今日の " 道場長の一日一心 "
『 てん から の「ぞうとうひん」やまい も おい も ちから に かえ る「かっきおうへん」という こころ の あ り かた 』
" 人生の荒波を乗りこなす「活機応変」の心 "
合氣道師範として、
また一人の人間として、
私が日々の生活で
大切にしている言葉があります。
それは
「活機応変(かっきおうへん)」
という言葉です。
「機会を活かし、変化に応じる」
という意味を持つこの言葉は、
「臨機応変」を
さらに深く掘り下げた概念だと
私は考えています。
人生は、
まさに変化の連続です。
病や老い、
そしていずれ訪れる死。
これらは時に
私たちを不安にさせ、
立ちすくませるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
私たちは「生かされている」
私たちは、
この天地大自然によって生かされています。
命あるものは必ずいつか死ぬ。
でも生きてる間は死なない。
正しく言えば、
人間は生かされている間は死なない
ということ。
私たちは今、生きている。
それは
この天地大自然によって
生かされているということ。
天地大自然のことを
「神」と呼ぼうが「仏」と呼ぼうが、
人それぞれです。
人には
それぞれの思いや考え方があります。
その上で、
私は「神」や「仏」というのは
人間が作ったものであると考えます。
しかし、
天地大自然は
人間が作ったものではありません。
どんな力持ちでも、金持ちでも
この天地大自然を作ることなどできません。
この天地大自然には
勝てるものなど一人もいません。
どんなに
偉大な力や富を持つ人間でも、
この大自然には皆、かないません。
繰り返しますが、
天地を「神」と呼ぶか、「仏」と呼ぶか、
それは人それぞれの考え方です。
しかし、
人間が作ったものではない
この偉大な天地という存在に、
私たちは生かされている。
これは紛れもない事実です。
そうであるなら、
この天地大自然からの
「贈答品」や「授かりもの」として、
人生の
すべての出来事を喜んで受け取ってみる。
私はそう考えるようになってから、
人生観は大きく変わりました。
老いや病、そして死さえも、
人生を深く豊かにする
素晴らしい景色として
受け入れられるようになったのです。
" 病さえも、何もかも「活かす」心構え "
同じ病をしたとしても、
それを単なる不幸と捉えるか、
学びの機会と捉えるかで、
人生は全く違ったものになります。
病を経験し、失うことを通して
初めて氣づく教訓がたくさんあります。
" 恩師から教わった
「活機応変」の真意 "
先日、
私にとって合氣道だけではなく、
生きる姿勢まで
教えてくださった大先輩が、
永眠されました。
私が合氣道琴心館の末席に
加えていただいたばかりの頃、
不器用で何もできなかった私に、
師は技の理合はもちろん、
道場での振る舞い、
そして
人生の様々な局面で大切なことを、
根氣強く教えてくださいました。
合氣道琴心館寺崎道場を主宰し
合氣道師範として歩みだした頃、
不甲斐ない私にいつも優しく
「ずっと応援してるよ」と
いつもあたたかく見守ってくださいました。
その深いご恩を思うと、今も言葉になりません。
活機応変。
この言葉の真の意味を、
私は最期まで恩師から教わっていたのだと、
今になって氣づかされました。
「天地にはね、このように還って逝くんだよ」と、
穏やかに微笑んでおられる
師の姿が頭に浮かびます。
人は、
生まれてから死を迎えるまで、
様々な「変化」に直面します。
若く、
力に満ちていた時もあれば、
病に倒れ、
思うように動けなくなる時もあります。
しかし、
恩師は、その究極の変化である
「死」さえも、
自然な流れとして受け入れ、
天地と一体となり、
天地の一部に
還っていく姿を見せてくださいました。
力で抗うのではなく、
変化を受け入れ、その流れに身を任せる。
これは合氣道の稽古で学ぶ
「統一体」の極意であり、
人生そのものに通じる深い教えです。
何かを失ったら、
それを通して、さらに多くのものを得る
くらいの心構えを持つこと。
五つ失ったら、
それを通して七つ氣づき、
十を得るくらいの心構えで生きる。
そうすれば、
すべての出来事が「喜び」に変わります。
これこそが「活機応変」の心です。
人生の荒波に立ち向かうこと。
それはとても勇ましい心構えです。
さはさりながら、
その荒波を活かして前に進んでいく。
それが、僭越ながら
不肖、私がこの道場で日々皆さんに伝えたい、
合氣道の真髄であり、
人生の真髄でもあるのです。
合氣道琴心館寺崎道場は、
この「活機応変」の精神を、
これからもお弟子さんと共に学び、
深めていきたいと思います。
師から受け継いだ大切な教えを胸に、
今日も一日一心の稽古に励んでまいります。
合掌礼拝。
今週もありがとうございました。
良い週末を。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝