2026-05-20 03:12:00

" 狸谷山不動院から奥の院へ。逃げ場のない山中で悟る自然の脅威と危機管理 "

今朝も目覚めることができた。

ありがとう。

 

 

本日は、二十四節氣

立夏【りっか】末候

 

七十二候

第二十一候  竹笋生【たけのこしょうず】

5月15日~20日ごろ。

タケノコが生えてくるころ。

 

 

 

 

今日の " 道場長の一日一心 "

『 ​たぬきだにさんふどういん から おくのいん へ 。にげば の ない さんちゅう で さとる しぜん の きょうい と ききかんり 』

 

 

 

 

​昨日の続きとなります。

一つ前のエントリーはコチラから。

 

 

京都市左京区一乗寺にある

狸谷山不動院 本堂での参拝を終え、

下山しようとした時のことです。

 

 

 

ふと、「奥の院」へと続く石段が、

私の目に留まりました。

 

 

 

入り口のきわには、

なぜか土のうが積まれております。

 

 

 

一見すると、

立ち入り禁止かと

思うような雰囲氣でした。

 

 

しかし、

それを明確に示す表記は

どこにもありません。

 

 

ただ一つ、

階段の手すりに

目を疑うような張り紙がありました。

 

 

「熊出没注意」

 

 

目撃日は、

令和5年9月30日と記されております。

 

 

 

私たちはこの時、

「奥の院」がどのような場所か

 

全く情報を

持ち合わせておりませんでした。

 

 

 

 

張り詰めた空氣の中、

十分に注意を払いながら

一段一段、階段を登って行ったのです。

 

 

 

​ほんの数段登っただけで、

そこはもう鬱蒼とした深い森の中でした。

 

 

 

少しひらけた場所に、

石碑のようなものが

ひっそりと佇んでおります。

 

 

 

その傍らの木に、

さらに2枚の

「熊出没注意」の張り紙がありました。

 

 

 

1枚は、先ほどと同じ日付。

 

 

もう1枚は、

令和6年5月8日となっております。

 

 

 

どうやら、

この場所すらも

まだ奥の院ではないようで、

 

矢印が、

「次はコチラ」と

先を指し示しております。

 

 

 

​その2番目のポイントは、

張り紙のある場所から辛うじて見えました。

 

 

 

そこにも石碑があり、

さらにその奥へと、

矢印は無情にも続いております。

 

 

 

しかし、

3番目の場所は、

鬱蒼とした木々に阻まれ、

ここからは全く見えません。

 

 

 

さらに深く、

山を登らなければならないようです。

 

 

 

 

見渡せば、

大木が倒れたまま放置され、

 

道なき道のような、

荒れた山の斜面が広がっておりました。

 

 

 

​その場で、

同行していたお弟子さんが、

 

すかさず

スマートフォンで検索してくれました。

 

 

 

そこで初めて、

私たちは「奥の院」の

全貌を知ることになります。

 

 

 

 

本堂からさらに山深く入った、

古くから修験者たちが

厳しい修行を積んだ神聖な霊場。

 

 

 

あの本堂の

鋭い眼光だった不動明王に仕える

三十六童子の像が、

 

険しい山道に沿って

祀られているとのこと。

 

 

 

三十いくつもの祠を巡りながら、

さらに30分から40分も、

山を登らなければならないというのです。

 

 

 

 

ネットの情報には

「整備されている道」とありましたが、

 

目の前の倒木や

急斜面を見る限り、

私には到底そうは思えませんでした。

 

 

 

ここで私たちは、

これ以上進むことを

きっぱりと断念いたしました。

 

 

 

もし今この瞬間、

本当に熊と遭遇したら

どうなるでしょうか。

 

 

 

木の根や落ち葉に

足を取られるような、

この極めて足場の悪い悪路です。

 

 

 

車に匹敵するスピードで

突進してくる熊から、

逃げ切ることなど不可能です。

 

 

 

張り紙はあくまで

「たまたま人が目撃した日」に過ぎません。

 

 

 

実際には、

もっと頻繁に

この辺りを徘徊しているはずです。

 

 

 

 

まだまだ

未来ある指導者と、

その道を志す弟子たちを

 

このような

危険な場所に連れ込んでしまった。

 

 

 

 

私は自らの判断を

深く反省し、

 

ただちに下山するよう、

皆に指示を出しました。

 

 

〈中島 小雪〉師範部長が、

「では、先生も降りましょう」と

声をかけてくれます。

 

 

 

「皆は早く降りて。私はもう数分、ここにいるから」

 

 

私がそう伝えると、

皆が一様に

「ええ〜」と、不安げな声を上げました。

 

 

 

すると、

隣にいた〈一ノ瀬 尚〉先生が、

 

「じゃあ、私も先生と一緒に残るから、皆は早く降りて」と、

背中を押してくれたのです。

 

 

 

皆が、

急ぎ足で下山していきました。

 

 

 

「こんな所でまた動けなくなったら、どうするんですか」

 ※一つ前のエントリーはコチラ

 

 

〈一ノ瀬 尚〉先生は、

静かにそう言って、私の身を案じてくれます。

 

 

 

本当に、

この日本女子の言う通りです。

 

 

 

私は、四方八方、

360度の景色を、じっと見渡しました。

 

 

 

私は合氣道のほかに、

かねてより「危機管理」や、

「テロ対策」について深く学んでおります。

 

 

 

「相手の氣持ちになって予測し、行動すること」

 

 

それが、

いかなる事態においても

「危機管理」、「テロ対策」の鉄則となります。

 

 

 

 

もし自分が、

誰かに危害を加えようとするなら、

どこに潜み、どう襲うか。

 

 

事を終えた後、

どこからどうやって逃走するか。

 

 

誰がやったか

見つからないためには、どうするか。

 

 

 

もちろん、

私自身が

そのような凶行に及ぶことは、

絶対にありません。

 

 

 

しかし、

その極限の視点を持つことこそが、

「危機管理能力」の極意なのです。

 

 

 

 

私はその道を専門分野とする

日本のみならず、

世界各国の専門家からも

 

高く評価される方から

直接学んでおります。

 

 

 

機密事項も多いため

これ以上は記せません。

 

 

 

麻布台教室を主宰する

〈円谷ひとみ〉先生、

 

東京、神奈川の各道場と

教室をまとめ、

自らも恵比寿教室を主宰する

〈中島 小雪〉師範部長、

 

そして、

神奈川辻堂教室を主宰する

〈一ノ瀬 尚〉先生も、

共にそれを学ぶ大切な同志です。

 

 

 

 

​一見すると、

私たちが学んでいる

合氣道と「安全保障」などは、

 

全くの別分野ではないか?と、

よく人から聞かれます、

 

 

 

しかし、私はそうは思いません。

 

 

 

安全保障、危機管理、テロ対策、

資源エネルギー、環境、経済、

AIやロボティクス、

そして正しい歴史認識。

 

 

 

すべては、

己を律し、他者と和合する

合氣道の精神と、

根底で深く繋がっております。

 

 

 

 

" 人間が生きる真の価値は、

人や社会のお役に立つことです "

 

 

 

 

合氣道琴心館寺崎道場の目的は、

武技の向上のみならず、

 

より良い社会のために

貢献できる人材を育成すること。

 

 

 

指導者たる私や、

錬成稽古に参加する先生たちが

 

これらを深く学ばずして、

どうしてお弟子さん方を導けるでしょうか。

 

 

 

 

​私が危険を承知で、

数分間この場に残った理由。

 

 

 

 

それは、

このような鬱蒼とした山中で

熊に襲われた際、

 

逃げ道など全くないという

圧倒的な危機感を、

自らの肌で知るためでした。

 

 

 

 

連日、熊の被害を伝える

悲惨なニュースを目にします。

 

 

 

その度に、

「なぜそこへ行ったのか」

「なぜ逃げられなかったのか」と、

つい想像してしまいがちです。

 

 

 

しかし、

今まさに私自身が、

 

その「逃げ場のない場所」

立っているのです。

 

 

 

 

見通しの良い場所なら

いざ知らず、

 

隠れ場所が無数にある

この斜面で、

命を守る術は極めて乏しい。

 

 

 

その冷酷な現実を、

深く胸に刻みました。

 

 

 

​もし、

私と隣にいる〈一ノ瀬 尚〉先生に、

 

まだこの世で

為すべき役目があるのなら、

 

天地の大いなる意思が、

必ず私たちを生かしてくれるでしょう。

 

 

 

「天ちゃん、頼んだで」

 

 

 

私は小さくそう呟きました。

 

 

 

恐怖も、不安も、

ありのままの景色も

すべてを丸ごと受け入れる。

 

 

 

ゆったりとした

「深い呼吸法」とともに、

心を「臍下の一点」に静めます。

 

 

 

そして、

正しいリラックスを保ちながら、

私たちは静かに下山を開始いたしました。

 

 

 

 

​その後、

周辺の寺社をいくつか巡り、

叡山電車の修学院駅へと向かいました。

 

 

 

 

土曜日の夕暮れ時、

穏やかな住宅街の風景が広がります。

 

 

 

夕食の買い物へ向かう

楽しげな親子や、

自転車で行き交う学生たち。

 

 

 

河原町や京都駅周辺ほどの

喧噪はありませんが、

 

多くの人々が行き交う、

ごく普通の生活の場です。

 

 

 

 

しかし、

その電信柱に、

 

またしても

「熊出没注意」の張り紙がありました。

 

 

 

複数の目撃日が、

生々しく記されております。

 

 

 

 

先ほどの

深い山中ならまだしも、

 

こんな人々の日常の

すぐそばにまで、

熊が足を踏み入れている。

 

 

 

その現実に、

私たちは思わず、目を疑いました。

 

 

 

 

山に餌がないからか、

人家の味を覚えてしまったのか。

 

 

人を恐れず、

冬眠しない熊が増えていると聞きます。

 

 

 

人間と大自然の動物たちが

本当に共存していくためには、

一体どうすればよいのか。

 

 

 

深く考えさせられる、

京都の夕暮れでありました。

 

 

 

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​合氣道琴心館寺崎道場が

大切にしているのは、

ただ技を極めることではありません。

 

どのような状況下においても

周囲の状況を静かに察知し、

相手を思いやる配慮を育むこと。

 

そして、

いざという時にこそ

臍下の一点に心を静め、

 

真の危機管理能力を日々の生活の中で

探究していくことです。

 

 

 

大自然の理や、

日々の歩みを通じた氣づきを、

 

この道場長ブログ

『ぼくらの合氣道』でも発信しております。

 

 

健やかな生き方のヒントが、

ここにあるかもしれません。

 

ぜひ、バックナンバーもご覧ください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

兵庫県合氣道連盟

合氣道琴心館寺崎道場

道場長 拝