" 「懐手して宇宙見物」 新しい自分に出会うための年末年始 "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
冬至【とうじ】次候
七十二候
第六十五候 麋角解(さわしかのつのおつる)
12月26日~30日ごろ。
雄の鹿の角が落ちるころ。
今日の " 道場長の一日一心 "
『 「ふところで して うちゅう けんぶつ」 あたらし い じぶん に であ う ため の ねんまつ ねんし 』
" 順調な時こそ「心の蓋」を疑う "
クリスマスも終わり
一年の締めくくり、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
物事が順調に運び、
穏やかな年末を迎えている方も
多いかと思います。
しかし、
そんな時こそ、
実は「心の油断」が忍び寄る
時期でもあります。
平穏な日々が続くと、
私たちの脳は「今のままで十分だ」
という甘い囁きを始めます。
脳には、
変化を嫌い、
現状を維持しようとする
横着な性質があるからです。
「せっかく上手くいっているのだから、新しい挑戦などせず、このまま波風を立てずにいよう」と。
しかし、
そうして現状に安住し、
新しいことへの挑戦に「蓋」をした瞬間、
私たちの世界は途端に狭まり始めます。
一つ諦めるごとに
世界は一つ縮み、
やがて
その狭い視界だけが
「世界のすべて」だと思い込んでしまうのです。
中国の故事に
「夜郎自大(やろうじだい)」
という言葉があります。
辺境の小国が、
強大な帝国の存在を知らずに
「自分たちが世界一だ」と威張っていた物語です。
自分の実力を過信し、
内側に閉じこもった時、
耳元では
「今のままで大丈夫だ」という
声が聞こえてきます。
しかし、
それは大海を知らぬ井戸の底で、
自分の声が
壁に跳ね返っているだけの
「こだま」に過ぎません。
果てしない大海に
身を置いていれば、
声は無限に広がり、
こだまなど返ってこないはず。
もし自分の内側に
安堵の声が響いていると感じたら、
「ああ、自分はまだ井の中の蛙だったな」
と思い直す。
その謙虚さこそが、
再び新しい世界へ
飛び出すためのエネルギーとなります。
物理学者の寺田寅彦氏は、
次のような歌を残しました。
好きなもの
イチゴ、珈琲、花、美人
懐手(ふところで)して宇宙見物
この「懐手して宇宙見物」という
言葉が趣があっていいですね。
年末年始のひととき、
着物の懐に手を入れ、
ゆったりとした心で夜空を見上げる。
宇宙の圧倒的な
広大さに比べれば、
自分一人の成功も、
あるいは小さな行き詰まりも、
「小せえ、小せえ」と笑い飛ばせるはずです。
それくらいの
心に余裕があれば、
自分の小ささを素直に認め、
「よし、来年はあの広い海まで行ってみよう」と、
軽やかな心で
新しい一歩を
踏み出すことができるかもしれませんね。
" 順調な時ほど、意識して井戸の外へ "
一年を振り返り、
今の自分に満足しそうになったら、
宇宙の広さを思い出してみる。
合氣道琴心館寺崎道場
2025年の稽古も、
会員の皆さまのおかげで
実り多きものとなりました。
来る2026年が、
皆さまにとって
さらなる「挑戦」と
「発見」に満ちた、
素晴らしい年となることを
心より願っております。
それでは、
どうぞ素敵な年末年始をお過ごしください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝