" 至福の眠り "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
『しふく の ねむり』
2024年
夏の東京出張 最終日は
呼吸法と自己手当の
講習会がある
南青山スタジオに向かった。
都営大江戸線 大門駅からだと
赤羽橋、麻布十番、
六本木、青山一丁目と4駅である。
青山一丁目駅から徒歩10分で
南青山スタジオに着くから、
大門駅から35分もあれば
十分なのだが、
浜松町を昼過ぎに出た。
青山一丁目駅から
南青山スタジオへ
少しだけ反対方向に
歩いたところにある
落ち着いたカフェで
寺崎道場の会報誌
" ぼくらの合氣道 8月.9月 合併号 " の
執筆作業を
しなければならない。
また、
この連日の炎天下では
夕方になっても
10分も歩いたら、
もう汗だくだ。
それにまして、
東京は坂が多い。
額から汗を流しながら
時間ギリギリに
会場入りするのは、
あまりスマートではない。
時間には
充分余裕を持ちたいものだ。
それにしても
早すぎるではないか。
ふと麻布十番駅で降りた。
麻布十番から青山一丁目まで
歩くことにした。
この辺りも坂が多い。
東京には江戸時代に
命名された坂が約500、
明治以降に命名された坂が
約140もあるらしいのだ。
とても興味深く、
今回の東京出張においても
そのいくつかの坂を巡ってみた。
今後も" 東京坂巡り "を
続けてみたい。
話を元に戻そう。
麻布十番駅を出て、
鳥居坂を登り切ったら、
案の定もう汗だくだ。
麻布十番から
僅か2駅なのだが、
徒歩で約20分。
この炎天下だ。
きつい。
かなり後悔した。
それでもこの苦を
何とか楽しむ方法はないか。
そのためにどうすれば良いか。
そんなことを
考えながら歩いていた。
その途中で
道路工事をやっていた。
そこで働く人が
昼休みで眠っている。
工事のために
掘り返された土の上が、
ちょうどイチョウの木で
陰になっている。
その土の上で眠っている。
3人の寝姿に
思わずほほ笑んだ。
枕もいらない。
敷布団もタオルケットも
畳もベッドもいらない。
道行く人も皆、
その寝姿にほほ笑んでいる。
道行く人の笑いも、
話し声も、
何と思われようとかまわない。
ただ
安らかな
いびきをかいている。
東京1400万人の中で、
一番幸せな
眠りなのだろうと思った。
何もいらない。
何をどう思われようと
かまわない。
そのままでよいのだ。
とにかく一眠りなんだ。
その人達を見た時、
これが本当の
健康な人の姿なんだと思った。
この炎天下の都心で
なんて良いもの
見せてもらったんだ。
これも
お天道様が
導いてくださったのか。
麻布十番駅で
降ろされたことも
天地大自然の
粋な計らいなのか。
そう思いながら、
この3人の寝顔を見ていたら、
なんだか涙が溢れてきた。
他人の寝顔を見て
涙が出ることなんてあるのか。
豪邸に住んで
泣く人、病む人、
眠れない人を
ずいぶん見てきた。
掴みすぎ、持ち過ぎ、
取り込み過ぎでは
あるまいか。
空腹はかえって健康に良い。
腹が減ったら何でも美味い。
何でも
有り難く食べることの
出来る人こそ尊い。
食べ過ぎ、飲み過ぎ、
休み過ぎ 、儲け過ぎ、
取り過ぎ、貯め過ぎが
不健康のもとに
なりやすいのだ。
「破れたる衣はきても足ることを知ればつづれの錦なりけり」
毎日の仕事が、
生活が、
ただただ有り難い。
全身全霊を
出し尽くし、
しぼりつくすから、
今日も快眠だ。
それだけでいい。
それが有り難いのだ。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
道場長 拝