今日の一言 2026-10-28 (水)

道場長 今朝の言の葉 " 低音の艶、臍下に通ず "

今朝も目覚めることができた。

ありがとう。

 

 

本日は二十四節氣

霜降【そうこう】次候

 

七十二候

第五十三候 霎時施(こさめときどきふる)

十月二十八日~十一月一日ごろ。

時々、小雨が降るころ。

 

 

 

今日の言の葉

『 低音の艶、臍下に通ず 』

 

 

 

先日、駅の改札で耳にした会話です。

 

若者が「オツー」「オツです!」と

挨拶を交わしていました。

 

 

どうやら、

「お疲れ様」を短くした言い方のようですね。

 

 

 

言葉は時代の風を受けて、

少しずつ形を変えてゆくものかもしれません。

 

 

 

さはさりながら、

「おつ」という言葉には本来、

しゃれているとか、

ありきたりではない

 

粋で味わい深く

情趣に富んでいることを意味する言葉でした。

 

 

 

「おつ」を漢字で書くと「乙」。

 

 

 

「乙」の使い方は

たとえば、こんな場面です。

 

 

 

「乙な計らいをしてくれたものだね」

「この漬物、乙な塩加減だね」

 

 

大げさに褒めるのではなく、

通の人がそっと目を細めるような

控えめな称賛です。

 

 

 

 

ところで、昔は評価を

甲・乙・丙・丁(こう・おつ・へい・てい)と

並べていました。

 

 

 

ならば「乙」は二番手で

「甲」のほうが上ではないかと

思われるかもしれません。

 

 

 

ですが、

この言葉の由来は

その順位とは別のところにあるようです。

 

 

 

それは日本の古典芸能や伝統音楽です。

 

 

 

邦楽では、

高く張った音を「甲(かん)」、

それより低く落ち着いた音を

「乙(おつ)」と呼びます。

 

 

 

「かん高い声」という言い方に

その名残がありますね。

 

 

 

低い音には、

しっとりとした艶と深みがあります。

 

 

 

その響きの魅力が

やがて「洒落ている」「風情がある」という

意味へ広がっていったのだそうです。

 

 

 

 

この言葉が人々に好まれたのは、

江戸から明治の世にかけてのこと。

 

 

 

「乙なことをするじゃないか」と

言われれば、

最高の誉め言葉でした。

 

 

 

いまの暮らしでも

ちょっとした心遣いに添えてみる。

 

 

 

「乙なはからいですね」と

伝えるだけで、

会話にほのかな日本の趣が灯ります。

 

 

 

 

古(いにしえ)の日本語の

言い回しを紐解けば、

ひとつの言葉の裏に

これほど豊かな物語が潜んでいるのですね。

 

 

 

この「乙」の話を

日々の合氣道の稽古の場に重ねてみます。

 

 

 

派手で見栄えの良い技だけが

美しさではありません。

 

 

 

その奥に隠された

一段低いところに

人の心を打つ深みが宿ります。

 

 

 

そこで思い浮かぶのが

臍下の一点です。

 

 

臍下の無限小の一点に心を静め、

重心をすっと沈める。

 

 

すると、

身体は揺るがず

心もおのずと凪いでゆきます。

 

 

 

 

心がしんと静まれば、

若者の言葉づかいを正す方法も違ってきます。

 

 

 

合氣道は争わず、

相手の氣を受け入れて

正しい方向へと導く武道です。

 

 

 

まず、相手の言葉に込められた

親しみの氣持ちを受けとめます。

 

 

そのうえで、

「じつは、こんな由来があるのですよ」と

そっと添えてみる。

 

 

 

これこそ、

「乙」の心に通じる

在り方ではないでしょうか。

 

 

 

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合氣道琴心館寺崎道場は

単に技をなぞる場ではありません。

 

私たちが大切にしているのは

稽古を通して

「和の心」を育むことです。

 

 

それが、やがて

周囲の人の心に灯火をともす生き方へと

育ってゆく。

 

 

言葉も所作も

まずは自分から示してゆく。

 

率先躬行の姿勢で

日々を歩んでまいりましょう。

 

 

日常のふとした氣づきを

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

兵庫県合氣道連盟

合氣道琴心館寺崎道場

道場長 拝