今日の一言 2026-05-19 (火)

道場長の一日一心 " ​京都・一乗寺:斜面に立つ狸谷山不動院の懸造りと、名高き不動明王の眼光 "

今朝も目覚めることができた。

ありがとう。

 

 

本日は、二十四節氣

立夏【りっか】末候

 

七十二候

第二十一候  竹笋生【たけのこしょうず】

5月15日~20日ごろ。

タケノコが生えてくるころ。

 

 

 

 

今日の " 道場長の一日一心 "

『 ​きょうと・いちじょうじ:しゃめん に たつ たぬきだにさん ふどういん の かけ づくり と、なだかき ふどうみょうおう の がんこう 』

 

 

 

 

昨日の記事の続きとなります。

一つ前のエントリーはコチラから。

 

 

 

京阪電車

祇園四条駅から出町柳駅、

そして叡山 (えいざん) 電車で

京都市左京区 一乗寺駅。

 

 

ラーメン街道で昼食を済ませ、

狸谷山不動院

(たぬきだにさんふどういん) へと、

徒歩で向かいました。

 

 

 

5月16日の京都は、

すでに30℃近くまで

氣温が上がっておりました。

 

 

 

強い日差しの中を

歩み進めます。

 

 

 

静かな住宅街を抜け

山へと近づいていきます。

 

 

 

次第に傾斜が

きつくなってまいります。

 

 

 

事前にこの日の参拝ルートを

調べてくれていた、

〈中島 小雪〉 師範部長が

教えてくれました。

 

 

 

この先には、

250段もの階段が待っていると。

 

 

 

​きつい坂道が続きます。

 

 

 

その中で、

ひときわ意氣揚々と

闊歩する者がおります。

 

 

 

麻布台教室を主宰する

〈円谷 ひとみ〉という生粋の江戸娘です。

 

 

 

 

実は合氣道寺崎道場の

「江戸の坂道巡り同好会」

発足のきっかけは、彼女でした。

 

 

 

3年前の東京での

指導者育成練成稽古。

 

 

 

稽古の合間に

この日本女子が主宰する

麻布台教室の

道場予定地を見に行きました。

 

 

 

その道中にあった坂道が

港区の雁木坂だったと記憶してます。

 

 

 

 

雁木坂は独特の石段を持つ、

風情ある江戸の坂道です。

 

 

 

当時、

都市開発著しい麻布台で

昔の姿が残ったのは奇跡に近い。

 

 

 

彼女はそう、

熱く語っておりました。

 

 

 

 

その時初めて、

彼女が江戸の坂道マニアだと

知ったのです。

 

 

 

「先生、東京には江戸から続く由緒ある坂道が、約700もあるんです」

 

 

 

 

彼女の言葉を聞き、

思い出したことがありました。

 

 

 

そのさらに数年前の

東京出張の際に

Googleマップで見つけた興味深い坂。

 

 

 

その名は、「幽霊坂」です。

 

 

 

 

私は合氣道師範の傍ら、

「怪談師」になりたいという夢を

実は密かに今も持ち続けております。

 

 

 

 

「幽霊坂」に行ってみたいと

ずっと思っておりました。

 

 

 

私の「幽霊坂」への興味と、

この江戸娘の坂道愛が交差しました。

 

 

 

 

それが「雁木坂」をきっかけとした

「江戸の坂道巡り同好会」結成へと、

繋がったのです。

 

 

 

 

翌年には、

念願の「幽霊坂」へもたどり着けました。

 

 

この恐い

「三田の幽霊坂」のお話は、

またの機会にいたしましょう。

 

 

 

 

​話を

狸谷山不動院への道に戻します。

 

 

 

 

延々と続く、急な坂道に

私たちは苦悶しておりました。

 

 

 

 

しかし、

〈円谷 ひとみ〉だけは違いました。

 

 

 

「この曲線が美しすぎます」

 

「青々とした新緑と、この坂道は天国のよう」

 

 

 

そう言いながら、

軽やかに登っていきます。

 

 

 

この江戸娘こそ、

正真正銘の坂道を愛する人です。

 

 

 

私は、

江戸の坂道以外は

あまり興味がないのですが😅…。

 

 

 

 

​やがて、

250段の階段が

目の前に立ちはだかります。

 

 

 

山の急傾斜に沿うように、

石段がうねりながら続いております。

 

 

 

 

その階段の途中には、

様々なお社や、

石碑が建ち並んでおりました。

 

 

 

 

険しい地形の起伏を、

そのまま活かした配置です。

 

 

 

自然の摂理と

見事に調和した景色を眺めながら

登っていきます。

 

 

 

ここで、

無駄に力を入れてはいけません。

 

 

 

正しいリラックスを、

心がけます。

 

 

ゆったりとした

呼吸を保ちつつ、

 

 

臍下の一点から

一段一段、歩みを進めます。

 

 

そうして、

息を乱さず

本堂の下へ到着いたしました。

 

 

 

 

​ふと見上げると、

山の急斜面にせり出すように

本堂がそびえ立っております。

 

 

 

懸造り(かけづくり)と

呼ばれる、

清水寺のような壮大な舞台造りです。

 

 

 

険しい自然の地形の

斜面に寄り添い、

共に立つような美しい建築の姿。

 

 

 

そこにも、

大自然と和合する理合いを

深く感じました。

 

 

 

 

頂上では

手水舎で手を清め、

道順通りに参拝を進めます。

 

 

 

宮本武蔵が修行したとされる、

滝もあります。

 

 

 

入山料500円を納めて、

本堂へと入りました。

 

 

 

私たち以外にも

数名の参拝者がおりましたが、

 

本堂内は、

私たちだけになりました。

 

 

 

靴を脱いで、

静かに参拝いたします。

 

 

 

 

​ふと正面を見ると、

大きな不動明王が祀られてありました。

 

 

 

 

鋭い眼光で、

こちらを見据えております。

 

 

 

堂内は、薄暗く。

 

 

 

外の暑さとは裏腹に

凛とした、

厳かな空氣に包まれます。

 

 

 

その鋭い眼光の前で

私はしばらく、

動けなくなりました。

 

 

 

これほど凄まじい眼力に

出会ったことはありません。

 

 

 

 

薄暗闇の中で、

その眼光だけが

光り浮き上がって見えます。

 

 

 

 

ただただ

凄いと、圧倒されました。

 

 

 

「いつまで座ってるんですか、行きますよ」

 

 

 

私の手を掴んだ

〈一ノ瀬 尚〉の声で、

ハッと我に返ることができました。

 

 

 

その間が

永遠のように、長く感じられました。

 

 

 

 

威厳に満ちた怖さの奥に、

何とも言えない安らぎがある。

 

 

 

何とも

不思議な体験でありました。

 

 

 

 

​「あまり先生は、こういう場所には来ないほうがいいですよ」

 

 

 

そう笑う

神奈川、辻堂教室を主宰する

〈一ノ瀬 尚〉先生は、

 

合氣道に出会う

ずっとずっと前からの友人です。

 

 

 

私のことを一番よく知る、

弟子の一人でもあります。

 

 

 

 

思えば、

靖國神社へはじめて参拝した時も

そうでした。

 

 

 

あの威風堂々とした、

第一鳥居の前に立った時のことです。

 

 

 

 

見上げた瞬間、

目に見えない巨大な氣に、

圧倒されました。

 

 

 

英霊たちの鎮まる、

その神々しくも、重厚な空氣。

 

 

 

まるで、

古を歩くような

 

時間の感覚が

消え去る不思議な感覚でした。

 

 

 

ずっと来たかった場所。

 

 

 

「やっと念願が叶いました」

「感無量です」

 

 

 

感極まり、

私はその場に釘付けになり

一歩も、動けなくなってしまったのです。

 

 

 

周囲の音が遠のき、

ただただ、立ち尽くす私。

 

 

 

 

​その時、

スッと私の手を取ってくれたのが

〈一ノ瀬 尚〉でした。

 

 

 

 

「行きますよ」と、

全く力みなく

自然体で導いてくれたのです。

 

 

 

境内の奥へと

私をゆっくりと、引っ張ってくれました。

 

 

 

 

そういう神々しい場所、

氣の満ちる場所では

私のことをいつも良く見てくれています。

 

 

 

私がその場に

取り込まれそうになるのを、

いつも敏感に察知してくれるのです。

 

 

 

 

動けなくなった私を

現実の世界へと、

そっと引き戻してくれます。

 

 

 

 

本当に、ありがたい存在です。

 

 

 

 

臍下の一点に心をしずめ、

和合の心で人に接する。

 

 

 

それを理屈ではなく、

ごく自然に行ってくれるのです。

 

 

 

 

後で知ったことですが、

この狸谷山不動院の不動明王は

 

その凄まじく「鋭い眼光」で、

大変有名なのだそうです。

 

 

 

ネットで検索すれば、

すぐ出てきます。

 

 

 

 

怒りの表情の奥にある

深い慈悲に、

 

多くの参拝者が、

圧倒されるといいます。

 

 

 

 

その眼光は、

決して単なる

威圧ではありませんでした。

 

 

 

迷いを断ち切り、

すべてを見透かす。

 

 

 

まるで、

静かな鏡のようでありました。

 

 

御意。

 

 

 

 

​本堂を出て、

下山しようとした時のことです。

 

 

 

「奥の院」へと続く階段が、

目に止まりました。

 

 

 

実はそこは、

" 熊の目撃情報 " が多数ある

場所だったのです。

 

 

 

この暑さの中、

長く急な坂と

階段を上がり続けて、

やっと、ここまで登ってきたのです。

 

 

 

合氣道修行者としては

当然、「奥の院」へも行ってみたい。

 

 

 

その先に待ち受けていた恐怖とは。

 

 

 

続きは、

また次回にお話しいたします。

 

 

 

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​合氣道琴心館寺崎道場が

大切にしているのは、

ただ技を極めることではありません。

 

周囲の状況を

静かに察知する配慮を育むこと。

 

 

力みなく自然体で人に寄り添い、

周囲の人の心にそっと灯火を灯す生き方を

ともに探究していくことです。

 

 

 

大自然の理や、

日々の歩みを通じた氣づきを

 

この道場長ブログ

『ぼくらの合氣道』でも発信しております。

 

健やかな歩みのヒントが、

ここにあるかもしれません。

 

ぜひバックナンバーもご覧ください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

兵庫県合氣道連盟

合氣道琴心館寺崎道場

道場長 拝