今日の一言 2026-03-13 (金) ~ 2026-03-15 (日)
道場長の一日一心 " 親の云う通りにはならないが、親のする通りになる。未経験の父が見せた「導き」の妙 "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
啓蟄(けいちつ)次候
七十二候
第八候 桃始笑(ももはじめてさく)
3月10日~14日ごろ。
桃の花が咲きはじめるころ。
古くは、
「笑」と書いて「さく」と読み、
花が咲くことを
「笑う」と表現していたそうです。
今日の " 道場長の一日一心 "
『 おや の いう とおり には ならない が、おや の する とおり に なる。みけいけん の ちち が みせた「みちびき」の みょう 』
合氣道琴心館寺崎道場の
道場長として
日々道場に立ち、
お弟子さんたちの成長を
肌で感じるなかで、
折に触れて
私の琴線に触れる
言葉があります。
「子どもは親の言う通りにはしないけど、親のする通りにする」
潜在意識の法則で知られる
ジョセフ・マーフィーの
至言 (しげん) ですが、
これは子育ての核心を
突いているのみならず、
仕事や人生における
『上司と部下』や
『先輩と後輩』といった
あらゆる『上下関係』、
さらには
武道における
『師弟の理』にも
深く通ずる真理です。
子どもに
「嫌なことから逃げちゃだめだ」
「最後まで続けることが大事だよ」と、
いともたやすく
正論を口にしてしまいます。
確かにそれは
生きていく上で
とても大切なことです。
さはさりながら、
子どもの心魂に
真に迫るのは、
小手先の理屈や
言葉ではなく、
親の「生きる姿勢」
そのものに他なりません。
昨年の8月
東京、神奈川に出張し、
そこに集まる
多くのお弟子さん方と
お稽古させていただきました。
そんな中、
神奈川県藤沢市の「辻堂教室」に通う
あるご家族から、
大変示唆に富むお話を伺いました。
辻堂教室に
お母さんと小学生の息子さんが
親子で熱心に
稽古に通われているご家族。
ある時、子どもが
「後ろ受け身(後方へ安全に転がる基本動作)」の
習得で行き詰まってしまったそうです。
何度挑んでも
背中を強く打ってしまい、
恐怖心と苛立ちから
「痛い!もう絶対にやらない!」と、
完全に意氣阻喪 (いきそそう)
してしまったそうです。
このような時、
大抵の親は
「途中で投げ出さないの」
「先生の教えをよく思い出しなさい」などと、
言葉で行動を
促そうと試みるものです。
しかし、その時
合氣道未経験である
お父さんの振る舞いは、
見事なまでに
常軌を逸し、
かつ理にかなったものでした。
お父さんは
威圧的な説教をするでもなく、
ただ静かに
自宅の布団の横に座り、
こう口にしたと言います。
「よし、お父さんも合氣道をやってみようかな。
でも、やったことがないから全く分からない。
先生 (息子に対して) 、お父さんに
受け身のやり方を教えてくれないか?」
そう言って、
自らが “不器用な生徒” となり、
進んで布団の上で
転がり始めたのです。
未経験の父親が
ぎこちなく転がる姿を見て、
息子の顔から
険しさが消え、
ふっと
笑みがこぼれました。
そして
「違うよ、お父さん。アゴはこうやって引くんだよ!」と、
誇らしげに
指導を始めたのだそうです。
自ら教えることで
要点を再確認した息子は、
氣がつけば、
あれほど嫌がっていた
受け身の練習に
再び没頭していたそうです。
そして、今や、
大人の有段者顔負けの
受け身を取れるまで上達、成長しました。
この顛末 (てんまつ) を伺い、
私は深く感嘆いたしました。
相手を力や権威で
ねじ伏せようとすれば、
必ずそこには
強烈な反発が生まれます。
相手の目線まで
己を下げ、同化し、
自らが動くことで
自然と相手をあるべき方向へ導く。
合氣道未経験であるはずの
お父さんが取った
この行動は、
まさに合氣道の極意である
「和合(わごう)」の
精神そのものです。
強要するのではなく、
共に歩む。
指示するのではなく、
自ら実践する。
親が不格好でも
何かに本氣で挑む姿、
未知のものに
楽しんで飛び込む姿は、
どんな美辞麗句よりも
鮮烈に子どもの心に刻まれます。
言葉で縛るのではなく、
無為自然 (むいしぜん) な
背中で伝える
「率先垂範(そっせんすいはん)」の力。
やらせるのではなく、
一緒にやる。
自分は何もせず
指示するのではなく、
自分が自ら動く。
親が本氣で
何かに取り組む姿、
楽しんでトライする姿は、
言葉よりも
子どもの心に残るもの。
言葉ではなく、
親の背中で
生き方を教えること。
辻堂教室で
ひたむきに汗を流す
親子の姿を見つめながら、
私自身もまた
道場長として、
自らの背中が
何を語りかけているかを
静かに内省する、
得難い一日となりました。
合氣道琴心館寺崎道場では、
単なる技の習得に留まらず、
日常生活を豊かにする
「心と身体の調和」、
「社会や人のために役立つ生き方」を
探求しています。
子育てや人間関係、
生き方のヒントが
ここにあるかもしれません。
ぜひ、
道場長ブログ「ぼくらの合氣道」
他の記事も
ゆっくりとご覧ください。
バッグナンバーはコチラから
今週もありがとうございました。
良い週末を。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝