今日の一言 2025-06-16 (月)
道場長の一日一心 " 失って氣づく、物事の重み "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
芒種【ぼうしゅ】末候
七十二候
第二十七候 梅子黄【うめのみきばむ】
「芒種」は末候へと移りました。
「梅子黄」は6月16日~20日ころにあたります。
青かった梅の実がだんだんと黄色く色づき始める頃を指します。
これは、梅が収穫の時期を迎えるサイン。
梅干しや梅酒、梅のジャムなど、
日本の夏には欠かせない
梅の加工品づくりが盛んになる季節の到来を告げる候です。
今日のお題
道場長の一日一心
『 うしな って きづ く、ものごと の おも み 』
「喪うことは不幸だが、その不幸によって、物事の存在の重みを知ることになるのだ。」
どこかのお寺でこの言葉を目にし、
「ほんと、そうだな…」と、深く心を打たれました。
私たちは日々の生活の中で、
多くのものを当たり前のように享受しています。
しかし、
その存在が当たり前でなくなった時、
初めて、その「かけがえのなさ」に
氣づかされるものです。
" 稽古に見る「失う」に似た感覚 "
合氣道の稽古においても、
この「失う」に似た感覚は重要です。
たとえば、
相手の攻撃を捌く際、
私たちは自分の「臍下の一点」に
中心を保持しながら、
自分自身の心身の力みや執着などを
「失う」かのように相手の力を導き、
そこから新たな次の体勢を築きます。
もし、
頑なに自分の体勢を維持しようと
そこに「執着」や「力み」が生ずれば、
それはかえって
中心を崩す原因となるでしょう。
また、
技をかける際も同様です。
相手とぶつかるのではなく、
一度相手の力を全て受け入れ、
その力を「行きたい方向」に導くことで、
流れるような技が生まれます。
これは、
自分の意図や力を押し付けるのではなく、
相手の「氣の動きを尊重」し、
調和の中から新たな関係性を築く
という合氣道の理念に通じます。
" 日常への応用:感謝と氣づき "
この
「喪うことで存在の重みを知る」という教えは、
道場を離れた日常にも
多くの示唆を与えてくれます。
健康、家族、友人、師、仕事、
そして穏やかな日常。
これらすべては、
私たちにとってかけがえのない存在です。
しかし、
日々の忙しさに追われる中で、
つい、その「ありがたみ」を忘れがちになります。
体調を崩して、
初めて健康の「ありがたみ」を知り、
大切な人との別れを経験して
初めてその「存在の大きさ」に氣づく。
時にそれは辛く、悲しい経験でもあります。
しかし、
その経験を通して
私たちは、これまで見過ごしてきた
大切なものの価値を再認識し、
深く感謝する心を育むことができます。
"「当たり前」の中にこそ価値がある "
私たちは、時に
「失う」ことを恐れるあまり、
目の前のものに
「執着」しすぎることがあります。
しかし、
本当に大切なことは、
「失う」ことを恐れることではなく、
「今あるものに感謝」し、
その価値を
日々かみしめることではないでしょうか。
合氣道の " 相手の「氣を尊重」する "
という考え方も、これに通じるように思うのです。
相手の「氣を尊重」する。
相手の「思いや考えを尊重」することで、
円滑な人間関係が築けるように、
私たちは日々起こる
出来事や出会いに対して、
それに柔軟に対処し、
その中に潜む価値を見出すことができます。
「喪う」ことは、
確かに辛い側面を持つかもしれません。
しかし、
それは同時に、
私たちにとって、本当に大切なものが
何であるかを教えてくれる、
「貴重な機会」でもあると思うのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝