今日の一言 2026-01-14 (水)

道場長の一日一心 " ​麻布十番のコーヒーが教えてくれた『調和(アイ)』の味 "

今朝も目覚めることができた。

ありがとう。

 

 

本日は、二十四節氣

小寒(しょうかん)次候

 

七十二候

第六十八候 水泉動(しみずあたたかをふくむ)

1月10日~14日ごろ。

地中では凍っていた泉が溶け動き始めるころ。

 

 

 

 

 

今日の " 道場長の一日一心 " 

『 ​あざぶじゅうばん の こーひー が おしえ て くれ た ちょうわ(あい)の あじ 』

 

 

 

 

 

合氣道寺崎道場には、

一昨年の春に

「江戸の坂道巡り同好会(仮)」が発足しました。

 

 

 

しかし、

残念ながら発足以来、

メンバーが増える氣配が全くありません(笑)。

 

 

今も変わらず、

麻布台教室を主宰する

日本女子と私の二人きりです。

 

 

​

 

東京には、

江戸時代から続く

由緒ある坂道が今も数多く残っています。

 

 

 

かつて

武家屋敷が並んだ高台と、

人々がひしめき合った低地を繋ぐ坂道は、

いわば歴史の断層。

 

 

 

そこを歩くことは、

 

地形に刻まれた

古 (いにしえ) の「氣」を感じ取り、

今の自分と響き合わせる、

 

私にとって

道場外での大切な稽古でもあります。

 

 

​

 

 

昨年の夏、

東京出張の折に、

 

この同好会メンバーである彼女と

麻布十番周辺の坂道を巡りました。

 

 

 

夜とはいえ、

湿氣を帯びた

夏の熱氣が身体に纏わりつきます。

 

 

 

 

「先生、少し休憩しませんか。

あそこのローソンでコーヒーを買って、

パティオへ行きましょう」

 

 

 

 

彼女の提案に乗り、

マチカフェコーヒーのカップを手に

 

麻布十番商店街にほど近い

『パティオ十番』へと向かいました。

 

 

​

 

『パティオ十番』は、

麻布十番商店街の象徴的な広場です。

 

 

 

石畳が敷き詰められた

欧州風の佇まいの中に、

 

童謡『赤い靴』のモデルとなった

少女「きみちゃん像」が静かに立っています。

 

 

 

 

ここは周辺の大使館から漂う

国際的な洗練さと、

 

長い歴史を持つ

商店街の活氣が

 

見事に溶け合う、

不思議と心が安らぐ空間です。

 

 

 

​その石段に腰掛け

一口、コーヒーを口に含んだ瞬間、

私は思わず声を上げました。

 

 

 

 

「……ん? なんだこれは。こんなに美味かったか?」

 

 

 

​

いつも飲んでいる

ローソンのコーヒーとは、

明らかに奥行きが違うのです。

 

 

 

「麻布十番のコーヒーは格別だな」と

驚く私に、

彼女は不思議そうに首を傾げました。

 

 

 

「えっ、そうですか? いつもの美味しいマチカフェですよ。……

 

でも、確かにこの石畳とこの街の空氣が

味わい深くするのかもしれませんね」

 

 

 

 

​

 

神戸に戻り、

地元のローソンで

同じコーヒーを飲んでみましたが、

 

やはり

あの時の味には及びません。

 

 

 

 

 

神戸のお弟子さんに

この話をすると、

 

「師範、『氣』のせいじゃないですか?」と

笑われてしまいました。

 

 

確かに

その通りなのかもしれません。

 

 

​

 

 

 

そこで

今年のお正月、

 

真実を確かめるべく

再び同じ場所を訪れました。

 

 

冬の澄んだ空氣の中、

同好会メンバーの日本女子と二人、

 

また同じ場所で

マチカフェを手に取りました。

 

 

 

「……やはり、美味い。これは氣のせいじゃないな」

 

 

 

私が確信を持って言うと、

彼女も今回は少し深く頷きました。

 

 

 

 

「師範、もしかしたら

この場所の『氣』が、私たちがコーヒーを味わう

五感を開かせているのかもしれませんね」

 

 

 

​

 

人間は「氣の持ちよう」一つで、

身体の強さも、柔軟性も、

 

そして世界を

どう捉えるかさえも劇的に変わります。

 

 

 

​

合氣道の「合(アイ)」は、

「愛(アイ)」でもあります。

 

 

 

 

それは、

対象を否定せず、

 

すべてを受け入れ、

調和(アイ)すること。

 

 

 

 

 

 

この麻布十番の

洗練された景観、

 

きみちゃん像が見守る

パティオ十番の静謐 (せいひつ) 、

 

そして

江戸から続く街の呼吸。

 

 

 

 

それらが

渾然一体 (こんぜんいったい) となった

場のエネルギー(氣)を、

 

心が真っ直ぐに受け入れたとき、

私の中に「調和(アイ)」が生まれました。

 

 

​

 

心が周囲と調和し、

余計な力みが抜ければ、

 

五感は

最も純粋な状態へと導かれます。

 

 

 

 

 

「味が違う」と感じたのは、

コーヒーの成分が変わったからではなく、

 

受け取る側の

私の「氣」が整い、

この街と調和(アイ)した結果だったのです。

 

 

 

​

「美味い」と感じる

心の中にこそ、真実がある。

 

 

 

 

200円足らずの

一杯のコーヒーを通して、

 

合氣の理(ことわり)を

再確認した、

 

東京の冬の昼下がりでした。

 

 

 

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

兵庫県合氣道連盟

合氣道琴心館寺崎道場

道場長 拝