今日の一言 2025-07-08 (火)
道場長の一日一心 " 「平和ボケ」は危機管理の敵? "
今朝も目覚めることができた。
ありがとう。
本日は、二十四節氣
小暑【しょうしょ】初候
七十二候
第三十一候 温風至【あつかぜいたる】
二十四節氣は「夏至」から「小暑」へと移りました。
「温風至」は7月7日~11日ころにあたります。
今年はもう既に猛暑ですが、
暦の上ではその名の通り、氣温が上昇し、
夏の暑さが本格的に感じられるようになる頃です。
今日の道場長の一日一心
『 「へいわ ボケ」は ききかんり の てき? 』
" 危機管理能力の欠如に思う
〜「まさか」を「もしも」に変える視点〜 "
合氣道の指導にあたる中で、
お弟子さんたちの成長を日々
僅かながらも感じると同時に、
氣になっていることがあります。
それは、
「危機管理能力の低さ」です。
これは、
稽古への取り組み方や
健康管理、
さらには日々の生活全般にも通じる、
非常に重要なテーマだと感じています。
" 危機管理能力が低い人 " の特徴の一つに、
スケジュール管理の悪さがあります。
前もって計画を立てることが苦手で、
重要な業務や準備を
後回しにする傾向が見られます。
たとえば、
稽古に必要な準備を怠ったり、
体調管理を疎かにしたり。
その結果、
怪我や病で稽古を休むことになってしまう
ケースが後を絶ちません。
これはまさに、
危機管理の三原則の一つといわれる
「未然防止」が
おろそかになっている状態です。
それは、
突発的な事態に直面したときに
大きな問題となるのはもちろん、
日々の小さな不都合や怠りも
積み重なれば、
大きな停滞へとつながります。
" 平和ボケからの脱却を "
この " 危機管理能力の欠如 " は
私たち個人の問題に留まらず、
わが国、日本全体にも
当てはまるように思うのです。
ロシアとウクライナ、
イスラエルとイランの戦争。
これらの紛争を
まるで「よその惑星の話」で
あるかのように、
「日本は平和だ」などと
未だに思っている人が多くいるのでは
ないでしょうか。
しかし、
これは決して他人事ではありません。
日本は
中国、ロシアという核保有国と
北朝鮮のような実質的に核を保有している
国々と海を挟んで隣接しています。
にもかかわらず、
「日本は平和だ」という
思いがあるのはなぜでしょうか?
一つの要因として考えられるのが、
日本の地理的特性だと思います。
日本は島国であり、陸続きの国境がありません。
他のアジアの国々や
中南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東など、
その多くの国々が陸続きの国境を接し、
いつ隣国に " 侵略 " されるかわからない
という危機感を常に抱いています。
だからこそ、
" 自国は自国で守る " という意識、
すなわち「危機管理能力が高い」と
言えるのではないでしょうか。
それに比べて、
私たちは " 海に守られている " という
安心感から、
有事への想像力が
働きにくいのかもしれません。
しかし、
これは非常に危険な考え方です。
「日本は平和だ」という認識は、
近い未来のわが国日本の姿を
見誤る可能性が大いにあります。
島国であるからこその " 安全神話 " は、
「危機管理能力の低下」を招く
一因となっているように思えてなりません。
"「もしも」の視点を持つ大切さ "
今年で「終戦80年」です。
たった80年前まで日本は一度たりとも、
領土を侵略されたことはなかった。
幕末から明治維新にかけて、
日本は " 欧米列強 " の脅威に直面していました。
他のアジアの国々が欧米の植民地となり、
このままでは日本も植民地化される
恐れがあるという危機感から、
明治政府は国の独立を保ち、
欧米諸国と対等な立場になることを
目指しました。
その目標を達成するための
国家的なスローガンとして掲げられたのが
「富国強兵(ふこくきょうへい)」です。
国を豊かにし、
強い軍隊を作り、兵力を増強しました。
それにより
日本は急速な近代化を推し進め、
国際社会での地位向上に大きく貢献しました。
しかし、
「負けた時にどうするか?」
それを考えてはいなかったのです。
終戦80年という節目の年に、
私たちは今一度、過去の歴史から
学び直し、
これからの日本を子々孫々に
どう引き継いでいくのか?
それを一人ひとりが
真剣に考えなくてはなりません。
合氣道の稽古では、
予期せぬ動きに対応する
受け身の技術や、
常に相手の動きを予測し、
状況判断をする力を養います。
これはまさに、
「もしも」の事態に備え、
「早期対応」し、
「再発防止」へと繋げる
危機管理の三原則に通じるものです。
私たちが日々の生活や、
そして国家レベルで、
この「もしも」の視点を持つこと。
それが、
本当の意味での「未然防止」に
つながるのではないでしょうか。
合氣道の稽古を通じて、
心身を鍛えるだけでなく、
この「危機管理能力」を高めていくことこそが、
現代に生きる私たちにとって、
そして未来の日本にとって、
非常に大切なことではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
兵庫県合氣道連盟
合氣道琴心館寺崎道場
道場長 拝